こんにちは。
USボーカル教室大分明野校の團塚です。
今回は、里国隆さんという盲目で
孤高の奄美の唄者を紹介致します。
奄美島唄の歌唱法でお馴染みの、
伸びやかで綺麗に澄みきった裏声や、
グィンと呼ばれる独特なこぶし回しとはまるでかけ離れた、
しわがれ声を更に締め上げ、絞り出すような歌声。
うめき声のようにも聞こえるそのダミ声の奥で、
時折黒光りする鋼のような声色。
はじめて耳にした時は、
そのいぶし銀のドス黒い声の煌めきに
心臓を鷲掴みにされたような衝撃を覚えました。
過去にいくつか、いつでも聴けるようにと、
動画投稿サイトに
私自身がアップしている音源がありますので、
興味持たれた方は聴いて見てください。
演奏前の口上がまたいいんですよ。
“里国隆は今のインスタントラーメンとは違いまして、
昔の本物の里国隆でございます。
見間違え、見落としのないように..
歌い上手よりも聞き上手。
今日ここにおみえになりました方は、
歌を見に来たんですか?聴きに来られたんですか?
まず、聴きに来られたんだったら自分の耳で足らない時は、
隣近所のお耳まで借り受けまして腹一杯収めて下さい”
路傍で樟脳(防虫剤)売りをしながら歌ってた里さんが、
わたくしにもこんな機会があったもんかねぇ..
と大舞台で涙に声を詰まらせた後のこの口上。
胸がふるえました。
わたくし事ですが、先日、”超”断捨離をしました。
いままでに何度かプチ断捨離しながら要らなくなった、
衣服やCD、本などを整理してきてはいたのですが、
今回のは凄まじい量です。
衣類や本、まだ使用感もさほどないテーブルや椅子。
そして結構思いきりましたのは
一部の楽器類、マイクやアンプ、
スピーカー等のレコーディング器材。
そして今回一番の大物。
それはプライベートスタジオとして
10年以上共に過ごして参りました防音ルーム。
USボーカル教室の各校に常設しております
スタジオの半分以下の小さいサイズです。
断捨離しながら物を整理してますと、
己の執着の在りようをまざまざと
眼前につきつけられる思いがします。
お天道様と影がひとつ
飯の椀といのちひとつ
とまではさすがにいきませんが、最終的には
自分の車に積めるだけの最小限の荷物のみ残して、
あとは全て処分致しました。
そしてなんとなく捨てられなかった本やCDの中に、
上に紹介しました里国隆がありました。
里さんの言葉を借りれば、
本当の… いえ、本物のこれがあなた自身であると、
はたして胸を張って今言えますか?
そう問われてるような気持ちになりました。
最後の最後に捨てられなかったのは、
私自身のそのような、密やかな憧れのなりをした、
己への執着そのもののように思えてきました。
私自身のスタジオはもうありませんが、
USボーカル教室には
皆さんと共に声を出せるスタジオがあります。
歌は上手くなくてもいいのです。
上手い歌を歌う人がいい歌い手とは限らず、
心を打ついい歌声が必ずしも上手い歌ではありません。
まずは御自身の本来の声を
見つけにくるのもいいかもしれません。
“自分の耳で足らない時は、
隣近所のお耳まで借り受けまして”(笑)
かく言う私もいまだ納得のいく歌など歌えておりません。
教室にいらっしゃる皆様のお声に向き合わせて頂きながら、
日々勉強させて頂いてる最中であります。
まずは共に声を出しながら
楽しいレッスンをしていきましょう。
そしていつの日か、これが私の本当の声です。
これが本物の私自身ですよと、
歌うことで表現しちゃいましょう?